ミラクルソル工法・ジオファイバー工法
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平成25年2月19日(火)に、ミラクルソル協会・佐賀県ジオファイバー協会主催で、平成24年度第18回「ミラクルソル工法・ジオファイバー工法」技術研修会及び現場見学会を佐賀県玄海町で行った。国土交通省・佐賀県や玄海町、建設会社・コンサルタント会社などから技術者約130人が参加し、両工法の説明を聞いたほか、ジオファイバー工法で施工している法面工事の現場を見学した。
現場見学会に先立ち玄海町町民会館で技術研修会が行なわれ、日特建設(株)九州支店の阿南祐二技術部長がジオファイバー工法の概要や設計手法などを解説した。同工法は「連続繊維補強土工、地山補強土工、植生工」の三つを組み合わせたもので、セメントを使わないため二酸化炭素の排出量を削減し、法面の樹林化をスムーズにできるといった特徴を持つ。
また、砂質土とポリエステル製の連続繊維を混合していることから、擬似粘着力が生まれて剪断強度が大きくなり、粘り強い土構造物が法面を保護する。阿南技術部長は、同工法で施工した法面や斜面が2007年3月の能登半島沖地震(最大震度6強)、2011年3月の東日本大地震・津波でもほとんど崩壊しなかった事例を紹介し、「環境にやさしいだけでなく耐震性にも優れた工法」とアピールした。
続いてミラクルソル協会理事長原が「多目的環境材料ミラクルソルを活用した環境緑化工法」と題して講演。ガラス廃材を再利用したミラクルソルの特性やその用途、ミラクルソルを活用した環境緑化工法である「ミラクルボードソイルストップ(MBSS)工法」と間伐材を有効利用した「FWG・ウッドチップ工法、ウッドグリーン工法、サークルボード緑化工法」等を説明した。
容器包装のガラス廃材を約900℃で焼成してつくる多孔質間隙構造のミラクルソルは、製造条件により0.3~1.5の比重と吸水・非吸水が調節可能。吸水性に優れたものは岩盤斜面や屋上の緑化用保水材と水質浄化に、非吸水性のものは軽量盛土材や軽量骨材、地盤改良材といった建設材料に使用できる。ミラクルソルは、強固な軽量材料や新素材として建設などさまざまな分野で用途を広げており、これまでに環境緑化・環境土木・水環境・自然環境などの分野で25工法を開発している。
MBSS工法は、吸水・保水性の高いミラクルソルを埋め込んだ板状のボードを設置して法面を緑化する。主に岩盤斜面やモルタル吹付斜面に使用し、千鳥状に設置したボードが厚層基盤材のすべりを抑止して安定性を高め、保水性の高いミラクルソルが植物の活着と生育を助長する。
「FWG・ウッドチップ工法」では、現地発生木材や間伐材をチップ化して生育基盤材として再利用。細かく破砕した木材チップに吸水性のあるミラクルソル、肥料、接合剤、発育促進剤などを混合して斜面に吹き付けることにより、植物の早期生育を促進させるのが特長だ。「FWG・ウッドチップ工法は現地発生木材や間伐材などの廃木材を利用することで、廃棄物の有効利用に貢献できる環境に適した工法であり、間伐材の有効利用は林建協働で森林の再生にもつながる。」とした上で、武雄工業団地の両工法併用で施した事例を説明した。
技術研修会のあと参加者は、ジオファイバー工法で施工している日本建設技術の工事現場へ移動。玄海町発注の町道長倉藤平線改良(1工区)法面対策工事、施工数量が約229m3、約1200m2。現場見学会では、建設&コンサルタント事業本部の下平正徳副部長が工法の概要や施工手順などを説明。参加者は現地の施工状況や吹き付け作業を見学するなどして、工法に対する理解を深めていた。
企画開発戦略本部 テクノキルン 副工場管理責任者 安田功 記
剪断力が強化された盛土