ラフト&パイル工法
ラフト&パイル工法とは
ラフト&パイル工法は、軟弱地盤域における海岸護岸や河川堤防の嵩上げ・補強および防災道路などの盛土基礎として、間伐材を用いて地盤を補強する工法です。
ラフト&パイル工法の概要
軟弱地盤対策工として、現在は石灰やセメントを用いた混合固化による地盤改良が主流であるが、その歴史は浅く、耐久性等に重大な問題が生じています。一方、平城の石垣基礎や甲突川等の石橋基礎には、「梯子胴木」 、「井桁・杭地業」および「筏基礎」等の木材を活用した技術が多く見られます。木材は、地下水位以下で用いることで、現在に至っても健全な状態で機能しており、過去の事例からも、数百年~千数百年の耐久性を持つことが実証された材料となります。
ラフト&パイル工法での木材の耐久性について
芦刈海岸における昭和搦干拓堤防では、軟弱地盤対策として木杭が用いられていた。当該堤防は、昭和34年9月の台風14号の影響で一部決壊し干拓地が水没するという災害が生じたが、木杭は既存の状態を維持していた。また、福井県の足羽川幸橋の橋脚基礎の地盤改良として木杭群が用いられた事例がある。2006年に解体され、軟弱地盤中に設置された木杭が確認されたが、74年経過していたにも関わらず、健全な状態で残っていた。

(昭和34年台風による被災状況)

(施工:1932年、解体工事:2006年)
これまでの施工事例によると、木材の保存状態は地下水面下にあった木材では100%健全な状態と判断されていました。
ラフト&パイル工法においても、地下水面下にラフトおよびパイルを設置することで長期安定が見込めます。
木材の腐朽状態

ラフト&パイル工法の構造
筏(ラフト)構造
筏(ラフト)は、縦および横断方向の主桁と間詰め材で構成し、盛土材料や施工機材による荷重を分散し、不同沈下やトラフィカビリティーを改善します。

杭(パイル)構造
杭(パイル)は、縦断方向の外縁縦列杭と横断方向の隔壁横列杭で構成する。杭による支持力を得られるほか、盛土荷重による軟弱地盤の側方流動を抑え、ヒービングによる周辺環境への障害を抑制します。施工時には、外縁縦列杭の外側に一定の間隔で側端杭を打ち、両側に設置した側端杭頭部をタイロッドで固定することで外縁縦列杭の側方移動を防止します。この時、タイロッドによる拘束圧が均等に伝わるよう、側端杭と外縁縦列杭の間に側溝を設け縦桁を設置します。
また、横断方向の幅員が大きい場合には、外縁縦列杭のほかに中縦列杭を設置します。

ラフト&パイル工法の適用例
盛土高さが中程度の場合

盛土高さが高い場合
